彼の人のように

自分はどんな人間に惹かれるかという事を考えた時、私の祖父みたいな人だと思った。

(私のセクシャリティパンセクシャル、クワロマンティック、クワセクシャルですが)

なにか仕事などがひと段落つくと、私が9歳のときに亡くなった祖父のことをなぜだか思い出す。生まれて初めて触れた身近な死だったからかもしれない。祖父は若い頃にムード歌謡の歌手をしていた。全く売れずに早々に辞めたらしいが、晩年は親族の結婚式なんかでは愛の讃歌を披露していたとか。

私が覚えていることは整髪料の薬草っぽい香り。昔の人には珍しくトイレを座ってすること。いつも吸い殻で山盛りの灰皿。甘いコーヒーを飲んでいたこと。午後のロードショーをよく並んで観たこと。私が祖父母宅へ泊まりに行くときにはいつも冷凍庫にハーゲンダッツを用意してくれていたこと。大人しいけど心を開いてる人にはよく話すし気にかけるし、近所に出るにも三揃いのスーツにハットにステッキといういでたちの粋な人だった。

 

祖父が撮ってくれたお気に入りの私の写真

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私は祖父みたいになりたいなと思っていた。私が他者に対して親愛の気持ちを持つのは、いつもこの人みたいになりたいなと思ったときだ。少なからず祖父の影響があるのかもしれない。

憧れは光でもあるけれど、ずっと手をかけられているような残酷な感じもする。

新作詩集から詩をひとつ、公開します。

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