好きな季節の日記

9月?日

ウルリケオッティンガー監督「アル中女の肖像」を観て大変にぶち抜かれる。

主人公の過剰な装いはmale gazeへのアンチテーゼの役割を果たしているように思った。朗読、ベルリンの歌、ドレス、アルコール、割れたグラス…いくつも痕を残しながら自己の破壊という方法で抑圧からの解放にむかう。エレガンスを道連れに華麗な暴走と破壊を描いたパンクな作品だった。

9月?日

無言激のhideを意識した装いで友だちが主催したクィアのセーファースペースな屋内レイヴ「Ximaira」で踊りまくる。

9月?日

Whenの演奏を聴きに行った。

薄い黒幕の内側で奏者が囲む音の出発点は祭壇のようにも食卓のようにも。ヴェール越しに仄明るい光が時折現れる以外見えるのは影のみ。目の前で絶えず音が編まれ、輪郭に触れそうになると流転し、自分まで無形になれた気がした。美しくて終わらないでほしいと思った。

9月?日

歩き疲れて夜遅くに余白の美モンブランを食べて、百億の昼と千億の夜を読んで煙草をやるなど。木製の椅子の背もたれに十字架、勝手に私たちを裁かないで

9月?日

詩集が完成した。

9月?日

文化と人の交差する場所modで給仕のバイトを始めた。

9月?日

朗読のレコーディング、生まれて初めて犬に激しく好かれた。

9月?日

旗袍を着て、初めての8センチCDを買う。

コーヒー3杯、焼き鳥、梅酒のはざまで灯台になるまで眼差しを送り合う。

10月?日

聞かせてごめんと思った話を

話してくれてありがとうと言われるなんて

10月?日

はぐれた天使たちの永い永いおしゃべりとでかいうさぎ(発光体の)

10月?日

ロックスターから本を譲り受ける。

10月?日

1.5時間だけのバカンス、樽をBURNでいつまでも笑っていたかった。

10月?日

「やさしいパティスミス」をテーマに作ってもらったカクテルを飲む。

10月?日

朝はLUNA SEA宇多田ヒカルを交互に聴き、夜は彼の人の青い髪に見惚れていた。

 

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おまけ 香ばしい街の喫煙所の壁、根性焼きのニコちゃんを見つける