ひとりぼっちで踊るために

チバユウスケさんが以前インタビューで「男として大事にしてること」を聞かれて

「ない。男とか女とか関係ない。」って答えてて、この人はただひたすら自分が格好良いと思うことをやってるだけなんだと思ってすげえ嬉しかった記憶がある。(このインタビューは音楽と人増刊号チバユウスケにも載ってるはず)

ロックンロールは「男らしさ」や道に逸れる格好良さを誇示したりするものではなく、むしろ無理矢理私たちが放り込まれてきた色々な枠や境界から逃がしてくれる、自分の心を解放するためにひとりぼっちで踊れるものだと私は思っている。自分のことが知れる。だからその途中で倒れてる人がいたら起こせばいい。

あとどれだけ詳しいかとかも誇示するのはちがう。自分の向き合えてないことを隠す手段じゃなくて、むしろ弱さや格好よくないところを吐露し合えるものだとおもう。
そのなかでたまたまでも、信念持ってでも格好よさや美しさを見出せたらまだ生きていけるなって思える。

音楽の話をしていて、自分や他者が言われがちなとても不愉快なことがある。
「若いのによく知ってるね」
「お父さんの影響?」
「彼氏の影響?」
「女の子なのに詳しいね」
男女二元論、異性愛規範、家父長制
全部いらねえ、解体あるのみ。

まずtoxic masculinityから降りよう、マンスプレイニングやめよう、ミスジェンダリングやめよう。そしたら何が好き?あれ格好良いよねって話ができる。

私がたくさん音楽を聴いていたのは、人より詳しくなって優位に立ちたいとかそんなしょぼい発想ではなくて、シンプルにひとりぼっちで踊りたかった日が多かっただけ。 どうやっても群れや、つがいの中にいられなかったり、わざとはぐれたりして、ひとりで音楽を聴く以上に自分を癒せるものがなかったから。でもいつも心からそうしたいと思ってる。

ロックとは…みたいな話じゃなくて、こういう要素が見えるから自分は好きですって話。
無数の人間たちが積み重ねて、決してひとつではないばらばらの花束のような、でも形のない、いくらでも異なる姿になれるっていうのもすきなところです。私は無形になりたいと思っているから、どうしようもなく憧れる。
そうやって何度も灯りをともして、いつまでもどこまでもひとりで踊り続けたいと思う。

f:id:RIKAGALENTINEROSE:20240505184121j:image