私は2022年からロックスターオマージュのセルフポートレート作品を発表しており、年内の作品集刊行を目標に最近、12作目を撮り終えたばかり。
ロックスターオマージュシリーズにおいて「似せる」ことは目的になく、自分は対象のどこに憧れているかを表現することに重点を置いている。
元々好きな方を選んできたけれど、改めて作品やインタビュー記事等から作家性や人間性を研究する期間を設け、撮影の計画を立て「この人のどこを纏うか」を決めて撮影している。
私はAFAB(出生時に割り当てられた性別が女性)のノンバイナリーなので、男性のロックスターをオマージュ対象に選んだとき、身体的には遠い。
端的に言えば似ていない。けれど似せることは目的にない。あえてオマージュに選ぶ理由は子供の頃から続く痛みと憧れを抱きしめること、身体へのまなざし(ミスジェンダリングをともなうmale gaze)を拒否し、勝手につけられてきた意味をずらすことにある。
私にとって音楽はいつでもひとりぼっちでも踊れる、どこへでも行けることを教えてくれる灯台で、その灯台に自分はなれなくても、なれないまま目指している。