我々はまだ燃やせる段階にいない

うちの会社、LGBTいるらしいからうちは理解ありますよ(または◯◯の友達いるから理解ある)と言い放つ人間の「法律できるから良いじゃん、違うの?あー中身知らなかったわ」

そこから当事者が解説させられ、説明しただけで演説になって、勝手になにかを背負わされる状況が発生するの今月何回あっただろう。

視差よ…。

「会ったことないけどいるらしい、なんかネットにはいっぱいいて流行ってる?幻想生物」になっているようだけれど、だからそんな人に明かすわけがない。いないと思うよな。あなたの隣に。多くの人が私たちを存在している、生きているただの「人間」だと念頭にまず無いし、知らないからこそ偏見を持つのに、ふわっとデマやヘイト言説ばかり鵜呑みにして自分で少しも調べない。

自分がジェンダーアイデンティティについて聞かれた時、本当は回答を拒否したいけれどデマを鵜呑みにしないでほしいし偏見や摩擦が少しでも減るならと言葉を尽くして答えている。けれど私がノンバイナリーだと知ってもなお、マイクロアグレッションもミスジェンダリングも当然のようにされるので、流しても耐えても出口が見えずさすがに疲弊している。

ノンバイナリーだからセクマイ当事者だから○○さんと同じでしょみたいな前提も多い。ノンバイナリーに関しては、その人が中性無性両性かも違う。セクマイ当事者であっても、その人が辿ってきた人生も触れてきたものも違う。安全でない状況を生きてる人もいれば安全な状況を生きてる人もいるからスタンスも違う。雑に束ないように。

中でも、日々数えきれないほど発生するのはジェンダー代名詞を間違えること。その形のミスジェンダリングが一番起こるのでは。慣れていないのだろうし、いちいち言うのも角が立つから我慢して流すけどかなりうんざりしている。そもそもジェンダーを特定する呼び方を使わないで会話することは可能だ、男女二元論に依存して試みてこなかっただけで。

そして一番嫌なのがなんでノンバイナリー、パンセクシャルなの?と理由を求められること。シスヘテロの他者になんで自分がシスヘテロと思えるの?なんて私は聞かない。

私やセクマイの人々が置かれている切迫したこの状況を伝えるために、もっと具体的なエピソードを話していけばいいのか?とも思ったけれど、だからなんで当事者がいちいち説明しなきゃいけないんだ、ググれよと、長きに渡りもやもやしている。

でも意識を少しでも変える気がある人は、まずはパレットークさんが掲載しているマンガはわかりやすいので読んでみてほしい。

https://twitter.com/palettalk_

わからない言葉は調べる、当事者になるべく聞かない。相手の労力と時間を奪わない、負担をかけずに寄り添うことや居合わせる、踏まないようにすることはできるはず。

私が立つ岸辺とあなたが立つ岸辺に、どれだけ距離があっても当事者ばかりに泳いで来させるのではなく、一緒に橋を作ることを考えたい。これはセクマイだけではなくて、他の自分では変えられない属性を持つひとのことにも。

当事者がこんな話をいちいちしなければ、というか言ってても全然伝わらないうちは虹を燃やす段階に我々はまだいないのだろう。とりわけこの国では。でも黎明期ではあると思う。人間は変わり続けていけると信じているので。

最後に、人間だから間違えることも知らないことも当然ある。それは仕方ない。私にもある。けれど干渉や詮索や悪意のない差別が、悪意のある差別が、人の命を揺るがしているということ、絶対に忘れないでほしい。