詩「Zan」

新作の詩です。ぜひご覧下さい。

 

f:id:RIKAGALENTINEROSE:20240229175403j:image

 

「Zan」 嶋田紫文

 

星座を辿ると

右の頬に続いていた

ぼくはその星座の名前を知らない

星の色の弦が染めあげては

宵闇のなかでひきよせる

前髪が眼差しを縁取っている

風通しの良い窓辺で鳴る

旋律をめがけて

言葉は積み上がってく

絶え間ないお喋りが

銀河に寝そべってる

愛すべき違いが

辻褄に寝そべってる

触れるより近い気がした

ぼくはその星座の名前を知らない

生まれた街に

登る星をさがしてる

まるで海を恋しがる人魚みたいに

鱗の名残が痛もうとも

幼き日の目覚めのピアノ

彼のひとをどうか守って