生涯忘れないくらいつらい6月だったけれど、居合わせてくれた人たちの存在といつものようにひとりぼっちでいさせてくれる音楽が私の救いでした。
6月の終わりに寄せる新作の詩を。
「音楽」 嶋田紫文
ベーサルシュートは涙壺
そのなかでふるえていた
暗緑の霧が
痩せた孤心は
冴えた月
その淵に腰かけて
星の色のつるを爪弾いた
彼のひとの長い髪には意志がある
黒衣を纏う雄弁な薔薇
約束をほどくように
永遠をたゆたうように
触れずに俺を
抱いてくれる
閉じた瞳で
より鮮明に
落ちる砂の中でだけ
あなたがわかる
落ちていこう
ひとりひとりとして