8月。私はセルフポートレートの作品作りに取り掛かった。
始まりは今年の誕生日。
自分へのプレゼントに購入したティアラと青薔薇の刺繍のネクタイを身につけて、自分を祝うためだけにセルフポートレートを撮ったことがきっかけだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「MY SAFETY PIN CROWN」
ごめんあそばせ、と中指を立てて
私は私の王冠を守る。
王冠を自分への敬意の象徴として、毎日を生きる中で目には見えなくても、誰もがいつでも王冠を持っている。ということを表現している。
自分だけの王冠のイメージは
大島弓子の作品「8月に生まれる子供」の「わたしはわたしの王女さまである。そしてその民である。」という言葉と
デヴィッドボウイの楽曲「Heroes」の歌詞から着想を得た。
王冠は安全ピンを大量に用いて、一から手作りした。
安全ピンは以前、ツイッターで痴漢対策として話題になり、議論になった。そして最近では、安全ピンはマイノリティ支持と団結の新しいシンボルとなり、再び注目されている。
1970年代以降、パンクの女王として知られるヴィヴィアンウエストウッドが当時経営していたショップ「SEX」で、安全ピンをモチーフとして取り入れた洋服などを展開してからは、安全ピンはパンクの象徴的なモチーフでもある。
本作では安全ピンをモチーフに使用することで、自分や他人への敬意、自分の性やアイデンティティを守ることを表現している。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
女の子だからと人を思いやることばかり教わり、自分を大切にしていいのだと知らずに大人になった私は、嫌なことを嫌だとはっきり言えずに、搾取に慣れてしまったし無駄に傷ついてきた。
私は何かを作ることで、私らしさを奪ってきたものへの貸しの回収をして、痛みの清算をしようと思っている。
背中を押してくれた女性たちや、憧れの魔女、パンクなはみ出しものたち、特権を持たない人、傷を抱えたまま断ち切れずにいる人を思いうかべることを。ごめん遊ばせと中指を立てることを決して忘れずに。