先日完成したばかりの自作のZINE「伏魔殿」
委託販売先のお店PARK GALLERYさんが、素敵なレビューを書いてくださいました。
なぜ伏魔殿というタイトルにしたのか、私は説明が苦手なのでうまく書けなかったのですが、まさに言いたかったことを汲み取って下っていて感激しました。。
https://note.com/park_diary/n/n05e4ed58d71b
その中で書いたエッセイ「死神と呼ばれて」で、10歳の時転入した小学校で死神というあだ名をつけられ、担任やクラスメイトから分かりづらいいじめを受けていたこと、教育の機会や場は全ての人に必要であるが、それは決して当たり前ではない。ということについて書いた。
コロナウイルス流行の影響で全国的に、学校が休校になり、国が親に家庭で学習指導を押し付けたり、学費が無駄になったり、大学の学費が値上がりしたり…。
教育格差が広がっていくのを目の当たりにして、私はより強い思いを抱いた。
「失った教育の機会を取り戻したい」ということ。
このことを友人、知人には知らない人も多いので、もしこれを読んだらびっくりしてしまうかも。
まだ以前はこの事実が恥ずかしかくて、変な目で見られるかもと怖かったから…。
でも、恥ずかしいと思うこと、思われることが、人を追い詰めるし孤立させるって気づいた。
私の好きなミュージシャンのカネコアヤノさんは、以前曲の中で「恥ずかしいはかっこいい」と歌っていた。
そのフレーズを聴いたとき、私はそうかも、そうしたいなと思った。
高校にもう一度行くのは、学びたい気持ちだけではなく、自分の中の恥ずかしいをかっこいいにするためでもある。
自殺未遂、家庭の経済的な事情や持病の悪化で、私は高校3年生の時に学校を辞めた。
あの時は選択肢が他に無くてそうするしかなかった。
すぐに高卒認定試験を受けようと思いながらも、日々暮らしていくのがやっとで、とうとう高卒認定試験は受けることはできずに気づいたら20代も半ばまできた。
その代わりに色んな仕事をやってきた。
スーパー、飲食店、販売員、バーやスナックでの仕事、ハンドメイドのヘッドドレスづくりの自営業から、古着と雑貨を扱う古物商も。
仕事を通して、色んな事情を生きる人を見てきた。それは何にも変え難い経験で、高校を辞めたことに後悔はない。
けれど、私が手放さざるを得なかったものに対して痛みは残っている。
心的外傷のサンドバッグにはなりたくないし、感じてきた痛み、タダでは済まさん!と思う。
私は自分を傷つけるのも、ヘラヘラ傷つけられるのもやめた代わりに、自分の中で必ず何かに昇華するようにしてきた。
何より前に進むためにできることは、全てやるつもり。だからこそ、今自分には教育の機会を得るための、場所や時間が必要だと思った。
ドラマ「セックスエデュケーション」のメイヴや「アンブレイカブルキミーシュミット」のキミーも同じ気持ちだったのかな〜なんて、思いを馳せながらどちらも3周目ぐらいだけど観なおしている。
私は来年26になるけれど、この秋から通信制の高校へ入学する。
長いセルフ解毒の日々をなんとか生き抜いて、私は次に進むことにした。
自分を取り巻く過去や傷、生きづらい事情や持病を抱えている家族。
なくならないあらゆる差別や偏見、助けや理解が必要な人間を限界まで孤立に追い込む、マジョリティのアプデされない価値観や認識。
どれだけ努力をしてもはみ出してしまう、社会に馴染めない人への理解や尊重しあうことが全然足りない国で生きること。
当事者の目線を持っている人間が、連帯や支援をしていくにはどうすればいいのか毎日ずっと考えている。
どんな形でかはまだわからないけれど最終的には、そういうことができるような仕事をしたいと思っている。
私が高校を卒業する頃には年齢が30近くになる。でももう絶対他人の物差しで私をはからせないし、人はいくつになろうと何度でもやり直せるはず。そういう社会であるべきだ。
ジョージエリオットも「なりたい自分になるのに遅すぎることはない」という言葉を残している。
私はこの言葉を、高校の編入試験の作文に書いた。
こういう大人もいま〜す、心配せずに自分のペースで、自分名義に生きておくれ〜というサンプルの一つぐらいになれればいいなと。
今度通う学校はもちろん公立なので、そこまで学費はかからないところも助かる。
さらに託児所があったり、ネット環境が整っていたりするし、通信制なので成人以上の年齢のかたも多そうで、色んな事情の人を受け入れる姿勢や環境に安心できる。
部活に入ってみようかなとか、今からかなりワクワクしている。
自粛要請期間が過ぎても身体はほとんどどこにも出かけてないはずなのに、私はずっと旅をしている気分だ。
自分を取り戻し、癒す私の旅。次の目的は失ったものを取り戻すこと。
実家も田舎もないし、私を縛る人ももういない。自分にかけてしまった呪いも解いた。
ずっと転校生のままの私の魂は、どこへだって行ける。それを忘れないでいたい。